6月9日、28-29日に開催されるG20・大阪サミットに向けて、六甲山ハイキングアクションを実施しました。約20人の参加者が六甲山系の摩耶山をハイキングしました。山頂の掬星台(きくせいだい)にて、G20が行われる大阪、神戸製鋼の既存石炭火力発電所を背景に「石炭をやめて自然エネルギーを選ぼう」のメッセージバナーを掲げて写真撮影を行いました。
■大自然の力強さに癒やされる
快晴の天気のもと、小学生から70代まで幅広い年齢層の参加者で、虹の駅から掬星台まで、ガイドの浅野晴良さんに案内いただきました。約90分のハイキング中は、木陰が続き、ときおりオオルリの声が響いたかと思えば、コアジサイの心地よい香りも漂うなど、みんなで楽しみながら歩くハイキングはとても気持ちの良い森林浴となりました。途中の長い石段では、黙々と歩く参加者の列が修行僧のように見える瞬間もありました。
今回のハイキング開催に合わせて製作し、参加者に配布していた「NO COAL KOBE」と書いた三角のバナーを見て、別のハイキング中の方から「何のグループですか?」と声をかけられることもありました。その際には、石炭火力発電の問題を伝えることもできました。
■強力な台風の影響を感じた親子杉の倒木…
今回のハイキングコースでは、摩耶山が、かつて観光地としてにぎわった旧摩耶観光ホテルの面影や、六甲山の植物の生え方の特徴、摩耶の大杉さん、昨年9月の台風で倒れた親子杉をめぐりました。
「摩耶の大杉さん」は幹周り8m、樹齢1000年ともいわれる巨大な杉で、約200年前に起きた摩耶山一帯の洪水でも流されなかったことから「大杉大明神」と名づけられたそうです。昭和51年の旧天上寺の大火災のときにも消失を免れましたが、熱風を浴びたことと寿命からか、徐々に枯れはじめ、今の姿になったそうです。しかし、枯れてもなおパワーを感じさせる「大杉さん」と出会い、参加者もそれぞれに力をもらったようでした。
一行は、親子杉を訪れました。親子杉は、旧天上寺周辺の樹齢100年以上のマザーツリーと呼ばれる巨木の一つです。3本に別れた幹が親子のように見えるため、親子杉と呼ばれ親しまれてきました。しかし、残念なことに2018年9月の台風21号の強風により倒れてしまいました。
六甲山系の山々の特徴としては、花崗岩から成っており、土の層が薄く10㎝程度となっています。そのため、木の根は、下に伸ばすことができず、横へ横へと広がっていきます。親子杉が倒れたことは、薄い土の層の六甲山系に育つ巨木の宿命ともいえるのかもしれません。このまま地球温暖化が進行することで、台風の威力は増すと考えられています。私たちに癒しと、力を与えてくれる六甲山の大自然が、気候変動によって壊れてしまわないようにしなければと強く思いました。そのためには、地球温暖化を加速させる、石炭火力発電所の建設はくいとめなければいけないと感じたハイキングとなりました。
■掬星台でのアクション
約90分のハイキングを終え、一行は神戸の街や大阪まで見渡せる掬星台に到着しました。眼下に広がる神戸の街。そのなかで、ひときわ大きく神戸製鋼の稼働中の石炭火力発電所が見えました。参加者のなかには、「うわぁ、大きいね~」と驚いていた方もいました。景色を眺めながら、参加者の方々に、神戸製鋼が既設の2基に加え、新たに2基の石炭火力発電所を建設中であることを伝えました。また、合計4基になれば神戸市全域から出る量よりも多くのCO2が排出されることや、PM2.5、窒素酸化物、硫黄酸化物を大量に排出し大気が汚されること、水銀、放射性物質までも排出される可能性など、石炭火力発電所の問題点について共有しました。そして、神鋼の石炭火力発電所建設を止めるために起した、民事訴訟と行政訴訟について、原告の今井絵里菜さん(神戸大学4年生)、弁護団の喜多啓公弁護士から、お話いただきました。一連のお話を終えたところで、気候変動防止キャラクター・シロベエが登場。G20の開催される大阪と神戸製鋼の既存石炭火力発電所を背景に、写真と動画の撮影をして、六甲山ハイキングアクションを締めくくりました。
参加者アンケートには「学生や弁護士の方が裁判を起していることが印象的だった」との感想が寄せられました。ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。