ご存知でしたか?
兵庫県神戸市灘区で運転中の2基の大型石炭火力発電所。
これに加えて、新たに2基の巨大な石炭火力発電所の建設が計画され4基になりました。
大型石炭火力発電所からは、大量のCO2(約690万トン)だけでなく、大気汚染物質が排出されます。
神戸に建てられた石炭火力発電所は、地球環境にも地域環境にも大きな影響があるのです。
神戸では、すでに大規模な石炭火力発電所が2基稼働中です。さらにそこに新たに2基の巨大な石炭火力発電所が建設されました。本当に必要でしょうか?
石炭火力発電所は、たとえ最新型であっても大量のCO2や汚染物質を排出します。将来の地球環境、地域への環境影響を考える上でも、石炭火力は最悪の選択肢です。
PM2.5は体の奥深く、血中に侵入し、ガン、心臓病、脳卒中のリスクを高めます。大気環境の悪化、ぜんそくなどの健康影響も心配されます。
2026年6月23日、神戸製鋼所の定時株主総会が開催されました。当会は会場前で、石炭火力事業が抱える経営リスクについて株主の皆様に情報提供を行うとともに、メンバーが株主として総会に出席し、経営陣に対して石炭火力事業からの撤退を求めました。
神戸製鋼所は鉄鋼メーカーのイメージが強い企業ですが、近年は電力事業が経常利益の約3割を占める重要な収益源となっています。そのため、石炭火力発電の将来性や脱炭素への対応は、環境問題だけでなく企業価値にも関わる重要な経営課題です。
今回は、神戸発電所(神戸市灘区)で計画されているアンモニア20%混焼計画と、足元の電力事業について質問を行いました。
アンモニア20%混焼では、燃料の約8割は依然として石炭であり、CO₂削減効果は限定的です。一方で、この計画は巨額の公的支援を前提としており、その費用は将来的に電気料金などを通じて市民・消費者の負担となる可能性があります。こうした点から、事業の実現可能性や情報開示のあり方が重要な論点となっています。
以下、当日の質疑応答と、そこから見えてきた課題を報告します。
【7頁】削減目標の認識について
「世界全体で1.5℃目標と整合的で、2050年ネット・ゼロの実現に向けた直線的な経路にある野心的な目標として、2035年度、2040年度に、温室効果ガスを2013年度からそれぞれ60%、73%削減することを目指すこととしている」と記載されているが、現状の削減目標に対する過大な表現となっている。
IPCC 第6次評価報告書 統合報告書においては、1.5℃目標実現(50%)のためには、2019年比でそれぞれ、2030年43%、2035年60%、2040年69%とされている。これについて、表1において比較した。

まず、国の目標値は、2019年比に換算すると、いずれもIPCCの科学的知見から提示された数値を下回っている。また、神戸市の削減目標も同様に比較すると、2040年目標こそIPCCと同じ数値となるが、2030年、2035年はIPCC目標を下回り、不整合となった。しかし、留意しなければならないのは、IPCCから示されている数値は世界全体での削減目標値であり、先進国である日本、その自治体である神戸市においては、より野心的な削減目標が必要である。したがって、科学的知見からは、国目標は1.5℃目標と整合的であるとは言えず、神戸市の温暖化対策計画案における削減目標を見直す必要がある。該当箇所については「国目標と削減目標は整合しているが、IPCCが示す1.5℃目標とは不整合であり、削減目標の上積みが必要である」と正確に明記するべきである。
【7頁】削減目標の設定、対策のあり方について
「神戸市においても、国の目標設定を踏まえ、2050年度排出量ゼロから、2019年度実績を起点としてバックキャスティングにより各年度の目標を設定した。さらに、部門ごとの削減見込量と具体的な施策を積み上げた。」との記載がある。しかし、本計画案は、バックキャスティングの手法とフォアキャスティングの手法が混在しており、市民にとって分かりにくいものになっている。
①目標ラインの策定(形式上のバックキャスティング)
2050年のゴールから逆算し、計算上の「あるべき削減経路」を引くフェーズ。
ゴール(2050年度):「温室効果ガス排出量実質ゼロ」を絶対的な到達点として固定。
起点(2019年度):実績把握が可能な直近年度をスタート地点に設定。
経路(直線的削減):2050年ゼロに向けた直線的な経路を引き、国の中間目標を踏まえ、以下の値を機械的に設定。
・2030年度:60%削減(2013年度比)
・2035年度:70%削減(2013年度比)
・2040年度:80%削減(2013年度比)
②施策の具体化(実態としてのフォアキャスティング)
現状からの積み上げで、2030年度の目標数値に帳尻を合わせるフェーズ。
BAU(現状推移)の算定: 2022年度の状況を起点とし、追加対策を講じない場合の2030年度排出量を8,490千t-CO2と推計。
削減見込量の積み上げの考え方と数値:
・国ベース:国の計画に基づく、電力の低炭素化や省エネ等による削減量。
・市独自:神戸市が上乗せする追加施策(再エネ導入支援、行動変容等)による削減量。
・対策推進ケースの算出: 上記を「積み上げた」結果、2030年度の排出量を4,957千t-CO2まで抑制可能と試算。
・積算の意味:BAU(8,490千t)と目標値(4,957千t)の差分である3,533千t-CO2を「2022年度から2030年度までの8年間の積み上げ施策」によって埋める構造となっている。
本計画案は、2050年からの逆算(バックキャスティング)で目標値を設定したとしているが、実際の施策立案プロセスにおいては、2022年度時点の状況を起点としたBAU(8,490千t)に対し、実現可能な施策を積み上げるフォアキャスティング手法がとられている。
特に、2022年度から2030年度までの短期間の積み上げ(3,533千tの削減)に終始しており、実質的には「2030年までの短期的なフォアキャスト」となっている。これでは、形式的な「バックキャスティング」と呼ばざるを得ない。現在の説明では、市民にバックキャスティングについて、誤解を招く恐れがあるため、バックキャスティングの文言を削除し、本計画案が「現状の延長線上の積み上げ(フォアキャスト)」であることを明記するべきである。
③削減目標算定プロセスの透明性について
2030年度の排出量目標は、2013年度排出量12,392千t-CO2から60%削減として算定されており、その結果は約4,957千t-CO2となる。一方、計画案に示されているフォアキャスティングによる「BAU-対策推進ケース」の2030年度排出量も、同じく約4,957千t-CO2と、ほぼ完全に一致している。しかし一般に、2050年排出量ゼロからのバックキャスティングにより設定した目標値と、個別施策を積み上げて算定した対策推進ケースの結果が、数値としてほぼ一致することは考えにくい。本来であれば、両者には一定の乖離が生じ、その差をどのように埋めるのかが政策検討の対象となるはずである。
この一致は、対策推進ケースにおける削減量が、あらかじめ設定された2030年目標値に合わせて調整されている可能性を示唆するものである。削減目標の実効性と信頼性を担保するためにも、BAUケースおよび対策推進ケースの前提条件、算定手順、ならびに市独自施策による削減量の調整過程を、より詳細に開示することが必要である。
④積み上げ対策の問題点 電力排出係数への高い依存度
積み上げで示されている各部門の削減目標において、電力からの排出係数の改善が占める割合を確認したところ、2030年の削減目標に占める削減量のうち、約2割は電力排出係数の改善によるものである。部門別では、産業部門、業務部門では、5~6割が電力排出係数の改善(2030年目標0.25kg-CO2/kWh)による削減効果が計上されている。
気候危機が深まる中、日本政府は脱炭素と経済成長を同時に実現する政策として打ち出した「GX(グリーントランスフォーメーション)」の名のもとに、石炭火力発電所を延命させる策としてアンモニア混焼やCCS(二酸化炭素回収・貯留)の導入を進めようとしています。
神戸でも、神戸製鋼所が2030年から神戸発電所でのアンモニア20%混焼の実現に向けた準備を進めています。
しかし、これらの政策や技術は本当に1.5℃目標の実現や脱炭素に役立つのでしょうか。むしろ気候変動対策を遅らせ、石炭依存を長引かせるだけではないか――そんな疑問が市民からも投げかけられています。なぜ、こうした取り組みが”脱炭素”と称して進められるのでしょうか。
本シンポジウムでは、エネルギー政策の最新動向と神戸で進められている動きをふまえ、アンモニア混焼やCCSの問題点を明らかにします。そして、これから私たちがどのように声を上げ、行動していけるのかをともに考えます。
アーカイブ配信
気候変動と環境問題が深刻化する中、私たち市民は、どのようにエネルギー政策に関与し、持続可能な社会を築くことができるでしょうか。この学習会では、神戸で進行中の石炭火力発電所の問題と、脱炭素火力の一環として導入が進められているアンモニア混焼の課題について、深く掘り下げて考えます。
市民として、私たちがエネルギーの未来にどのように関わり、変革を推進できるのかを共に探ります。
専門家の講演を通じて、石炭火力発電の現状とアンモニア混焼の問題点についての理解を深めていただけます。
第2回は、浅岡美恵さん(弁護士・NPO法人 気候ネットワーク代表)をお迎えし、
「気候危機の現状とアンモニア混焼の課題」についてご講演いただきます。
共に学び、考え、行動することで、より良い未来への第一歩を踏み出しましょう。
皆様の声が、地域と地球の未来を変える力となります。
【学習会】市民の力で変えるエネルギー
「第2回 気候危機の現状とアンモニア混焼の課題」
日時:2024年12月1日(日)14:00-16:00
会場:灘区文化センター E会議室
開催方式:会場参加 & Zoomウェビナーによるハイブリッド開催
参加費:無料
オンライン参加登録:こちらからご登録ください
皆様のご参加をお待ちしております。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
主催・問い合わせ
「神戸の石炭火力発電を考える会」
〒657-0051 神戸市灘区八幡町4-99-22(公益財団法人 神戸学生青年センター内)
Mail: [email protected]
URL: https://kobesekitan.jimdo.com/
TEL: 080-2349-0490