市民が環境や健康への影響を心配する声をあげているにもかかわらず、発電所の建設計画が中止される例は全国的にみても、なかなかありません。そこで私たちは、地域のみなさんとともに新たな試みとして、神戸製鋼・関西電力に対して、石炭火力発電所の建設反対を直接的に訴えるため、公害調停の申立てを行いました(2017年12月14日)。1人でも多くのみなさんが、声を上げることが、計画の見直しにつながります。
〇石炭火力発電所の建設を止めさせるには?
健康被害をこうむるおそれがあるとして、建設中止を求めて、裁判所に訴えを提起するという手段があります。
先日、宮城県仙台市において、石炭火力発電所の操業中止を求めて、住民らが提訴を行いました(9/27)。
訴訟も一つの手段ですが、私たちが提案させていただくのは、「公害調停」という方法です。
〇公害調停とは?
公害調停とは、事業者(今回の場合は、神戸製鋼・関西電力)との話し合いによって、公害防止のための様々な措置を相手側に求めるための手続きです。
裁判との違いは、行政機関(兵庫県公害審査会)に対して、申立てを行う点です。公害審査会の委員3人から構成される調停委員会が当事者の間に入って、両者の話合いを積極的にリードし、必要に応じ調査を行うなどして、双方の互譲の精神(互いに譲り合う)に基づく合意によって紛争の解決を図ります。手続は、原則として非公開で行われます。これまでの調停の活用事例としては、香川県・豊島(てしま)産廃事件等があります。
〇なぜ、裁判ではなく、「公害調停」なの?
私たちは、次の理由で、公害調停の申立てを行うことが望ましいと考えています。裁判を行うには、訴えを提起する際の費用のほか、訴訟費用等がかかります。これに対して、調停の場合には、費用が安いという特徴があります。代表者が、申立ての際に数千円を支払えば済みます。その後、追加的に費用は掛からず訴訟に比べて、手続も簡易です。
2018年8月31日に、神戸製鋼が新設の石炭火力発電所にかかる工事の届出(2018/08/30提出)を行ったことが判明したため、
公害調停においても、「1.石炭火力発電所を建設(増設)しないことを求めます!」の事項については、取り下げを行いました。
(声明)
神戸製鋼石炭火力発電所増設に係る工事計画の届出に対する声明(2018/08/31)
2018年11月7日公害紛争処理法第36条に基づき打ち切りが決定されました。
2017年12月14日の調停申請以来、三次にわたって、計481名にのぼる多数の市民が、将来の地域環境および地球環境に対する多大な影響を懸念し、神戸製鋼らに対し新設の発電所3・4号機(以下「新設発電所」という)の計画中止、既設発電所のさらなる公害対策の実施及びこれらに関係する情報公開や環境アセスのやり直し等を求めて調停申請しました。その後、新設発電所について工事計画の届出がなされたことに伴い、新設発電所の計画中止に関する申請のみを取り下げたうえで、既設発電所の公害対策等に絞って、現地調査や協議の継続を求めてきました。神戸製鋼が招いた調停打ち切りに対して、ここに強く抗議します。
(抗議声明)
神戸製鋼所による石炭火力発電所増設計画に係る公害調停打ち切りに対する抗議声明(2018/11/07)
今後、新設石炭火力発電所については、建設・稼働差し止め訴訟において争われることとなります。
なお、公害調停での協議内容については、申請人以外の方には非公開となっております。
お問い合わせいただいてもお答えすることができません。予めご了承下さい。
【問合せ・連絡先】
神戸の石炭火力発電を考える会
〒657-0064 神戸市灘区山田町3-1-1(神戸学生青年センター内)
HP:https://kobesekitan.jimdo.com/ E-mail:kobesekitan@gmail.com
TEL:080-2349-0490