2018年5月13日
株式会社神戸製鋼所
社長 山口 貢 様
【要望書】市長・知事・環境大臣意見・経産大臣勧告に従い、直ちに、
事業の環境影響を住民に誠意をもって説明し、信頼回復の努力をせよ
神戸の石炭火力発電を考える会
神戸製鋼が神戸市灘区に建設を予定している石炭火力発電所の新増設計画について、神戸市長意見(本年2月28日)・兵庫県知事意見(3月16日)・環境大臣意見(3月23日)・経済産業大臣勧告(4月4日)は、当該事業の環境影響について、地域住民等の関係者の理解・納得が得られるよう、誠意を持って丁寧かつ十分な説明を行うこと、正確な情報提供及び誠実な説明によって信頼性を回復することを求めている。しかし、神戸製鋼からは、これまで、具体的な対応策が示されていない。
①最悪の立地、最悪の発電方法
市長・知事・大臣意見、大臣勧告が指摘するように、そもそも本事業は、人口密集地であり、かつ、既存の製鉄所及び発電所が存在する地域を立地場所とし、環境改善が必要な地域において、敢えて環境負荷を増大させようとする事業である。
②不適切な環境影響評価手続
また、事業者の環境影響評価の手続に臨む姿勢についても、市長意見により「審査会にて本来準備書で記載されるべき資料の提出が求められたことや、公聴会で意見が公述されたように、準備書に係る事業者の情報提供の姿勢には問題がある」と厳しく指摘されていたところである。
③信頼性の失墜
昨年10月に神戸製鋼のデータ改ざん問題が発覚し、兵庫県及び神戸市が、アセスデータの検証作業を余儀なくされたことは記憶に新しい。また、最近、神戸製鋼は、既設発電所の1号機ボイラーにおいて環境保全協定値を超過するばいじんを排出していたことについて既に3月23日に把握していたにもかかわらず、4月13日まで事実の公表を怠っていたことが明らかとなった。この時期は、知事意見・環境大臣意見・経産大臣勧告、及び、公害調停の第1回調停期日と重なっており、意図的な情報隠しと言われても仕方がない。少なくとも住民の信頼を回復しようとする企業の姿勢とは、到底いえない。
④大規模な公害調停が進行中であること
石炭火力発電所の新増設によって生じる大気汚染などの環境負荷、大量の温室効果ガスの排出などを懸念する多くの住民が、神戸製鋼などを相手方に公害調停の申請をし、手続が進められている。これは、環境負荷は小さいとする事業者の説明について、理解・納得が得られていないことの証左であろう。
以上の点に鑑み、私たちは、この事業による環境影響を受ける多くの地域住民や、温暖化対策の観点から大規模石炭火力の増設を懸念する多くの市民を代表して、神戸製鋼に対し、市長・知事・大臣意見・大臣勧告に従い、事業の環境影響について、地域住民等の理解・納得が得られるよう、誠意を持って丁寧かつ十分な説明を行う場を設けること、正確な情報提供及び誠実な説明によって信頼性を回復するための措置を講ずることを求める。神戸製鋼は、このような措置を講じないまま、2018年5月11日に、環境影響評価書を経済産業大臣に届け出た。このような姿勢では、周辺住民等の信頼を得ることは到底できない。
地域住民の「理解・納得」(経産大臣勧告の表現)を得た後でなければ、環境影響評価書の手続及び電気事業法に基づく手続を進めることは許されない。これらの手続を即時、中断し、信頼回復のための措置をとるよう強く求める。
以上
神戸の石炭火力発電を考える会
住所:神戸市灘区山田町3-1-1(公財)神戸学生・青年センター内
TEL:080-2349-0490
Mail:kobesekitan@gmail.com
HP: https://kobesekitan.jimdo.com/
参考リンク
神戸製鉄所火力発電所(仮称)設置計画に係る環境影響評価書の届出について(2018/05/11)