【声明】 2017年12月28日
兵庫県環境影響評価審査会における
「(株)神戸製鋼所の環境アセスメントに関するデータ検証」について
データ検証は不十分・アセスはやり直すべき!
神戸の石炭火力発電を考える会
神戸製鋼所(以下「神鋼」という。)が、アルミや銅の製品について強度などの検査証明書のデータを書き換えなどの不正行為を行っていたことが発覚した後、兵庫県は、準備書に記載された数値データ等の検証を行うため、環境影響評価審査会神鋼神戸製鉄所火力発電所部会の開催延期を決定しました。
当会は、この延期措置を歓迎しつつも、当火力発電所建設予定地周辺の住民は、発電所の建設・操業に伴う環境影響を被る当事者であり、兵庫県は、準備書データの検証プロセスについて説明責任を果たす必要があるとの観点から、その検討・評価プロセスの妥当性・信頼性に関し、県民の理解を得るべきとの理由から、検証のあり方について、今後の方針、具体的な進め方など確たる措置を公式に明らかにするよう強く要請してきました。
しかし、これまでの兵庫県及び神戸市による検証は、検証プロセスの事前公表がなされず県民理解のないままに行われてきました。これでは行政が説明責任を果たしてきたとはいえません。また、本日の兵庫県環境影響評価審査会において報告された今回の兵庫県・神戸市による検証のプロセスには、以下のような問題があります。
すなわち、今回の検証作業は、実際の測定値からの集計のプロセス(たとえば、ばいじん測定結果の分析野帳から計算表への転記、及び、計算表から計量証明書への転記)に転記ミスや意図的な誤転記があったかどうかの検証にとどまっています。審査会委員の発言にもあったとおり、実際の測定値(たとえば、分析野帳の測定値)の信ぴょう性については、何ら検証されていません。神鋼の子会社による製品データの改ざん事案においては、実際の測定値(いわゆる生データ)そのものが、コベルコ科研により改ざんされています。今回の検証に際しても、コベルコ科研が作成したデータ(測定値)の信ぴょう性が担保できない以上、データの信頼性を前提とする環境アセスメント手続を進めることはできないはずです。製品データの信頼性は事後的にも検証できますが、環境アセスメントの基礎となる実測データは、そうはいきません。信頼のできる第三者により環境データの測定のし直しが必要です。神鋼ないし神鋼子会社以外の事業者による環境影響調査・予測・評価のやり直しを求めます。本年12月14日に255名が申請した公害調停においても、アセスのやり直しが求められています。
環境アセスメントのやり直しを行わせず、この段階で知事意見・市長意見のとりまとめを急ぐのは、大規模石炭火力発電所問題を単なるデータの不正問題に矮小化し、準備書手続を機械的、事務的に進めようとする姿勢に終始するもので、許されないものと考えます。
以上