本日、神戸の石炭火力発電を考える会は、神戸市長ならびに、石炭火力発電所の建設計画を進める神戸製鋼、コベルコパワー神戸第二に対し、下記の緊急要請書を送付いたしました。
神戸市長 久元喜造 様
2018年8月3日
神鋼との環境保全協定の改訂にあたり、市民・神戸市会議員を対象として
説明、意見聴取することを求める緊急要請書
神戸の石炭火力発電を考える会
1. 市民署名の提出
神戸の石炭火力発電を考える会は、本年6月20日、神戸市民ら1,158名を代表して、神戸市長に対し、以下の事項を求める要請書を提出しました。
【要請事項1】高炉廃止(現状)を前提とする環境保全協定の改定を早急に行うこと。検討に際しては、専門家委員会を設置し、「市民に公開された場」において議論すること。
【要請事項2】発電所の稼働状況(汚染物質等の排出)を「常時確認」できるよう、WEBにて公開すること。
【要請事項3】神鋼に石炭火力発電所の「新設計画の中断」を求め、市民に対して説明の場を設けさせること。
2. 環境保全協定の締結内容を、市民・市会に事前に説明し、意見を聴取すべきこと
当会は、7月31日に神戸市環境貢献都市課長ら職員との意見交換を行ったところ、現在、環境保全協定改訂交渉の最終段階にあるという報告を受けました。上記要請書に署名した神戸市民ら1,158名のみならず、神戸製鋼の新設火力発電所による大気汚染、温排水、温室効果ガスの大量排出、景観への悪影響、高圧地下送電線による環境影響等を懸念する多くの市民、専門家、報道機関らは、神戸市がどのような方針のもと、どのような内容の協定を締結するか、この間、全く知らされていません。
環境保全協定は、産業施設等によって悪影響を被る可能性のある市民の健康と生活を守るために、市民に代わって、神戸市が締結するものであり、環境保全協定の真の当事者は、地域住民にほかなりません。神戸市環境局の少人数の職員が、神戸製鋼らと密室において交渉し、真の協定当事者である地域住民や神戸市会に、交渉の状況や締結しようとしている協定の内容を説明したり、意見を聴取したりすることなく、協定を締結することは、許されないことです。
特に、神戸製鋼が建設を予定している新設火力発電所は、既設発電所と合わせると、全国有数の大規模な石炭火力発電所となるもので、神戸市あるいは兵庫県における大気汚染物質(ばいじん、SOx、NOx、水銀、PM等)の最大の排出源であり、その排出量は、他の産業施設と神戸市が締結している環境保全協定とは、桁違いに大きいものです。そうであるからこそ、短期間の署名期間であるにもかかわらず、1,158名もの市民が、環境保全協定締結プロセスの公開を求めたのです。他の事業所との環境保全協定締結において、事前に締結内容に関する市民への説明・意見聴取手続をしていないということは、本件協定の締結交渉に関し説明・意見聴取手続をしないことの理由にはなりません。
3. 環境影響評価準備書に対する神戸市長意見を踏まえ、事業者説明会を開催させること
新設石炭火力発電所にかかる環境影響評価準備書に対する、神戸市長意見、兵庫県知事意見、環境大臣意見、経済産業大臣勧告は、準備書手続に至るまで、事業者の説明や情報提供が不十分であったことを指摘し、積極的な情報公開を通じて住民等とのコミュニケーションを図り、事業計画及び環境影響評価の内容について、十分かつ丁寧に説明を行うことで、地域住民等の関係者の理解・納得を得ることを求めています。
しかし、神戸製鋼は、評価書の公表以後、市長・知事・両大臣の求めにもかかわらず、住民とのコミュニケーションを行う取組みは行ってきませんでした。それどころか、準備書に対する環境大臣意見や経済産業大臣勧告がまもなく公表されようとしている時期(本年3月末)に、環境保全協定値を超えるばいじんの排出があったにもかかわらず、それを適時に公表しないなど、その後も住民らの信頼を損なうような行動をとり続けています。
神戸製鋼は、準備書に記載すべき情報(たとえば汚染物質の総排出量の増減や、温暖化対策の具体的内容等)を、準備書に記載せず、神戸市主催の公聴会における市民の質問にも回答しませんでした。市民は、知るべき情報を知らされずに、準備書に対する意見提出(環境影響評価法18条)をせざるをえませんでした。その後、神戸製鋼は、神戸市環境影響評価審査会の委員に強く求められてはじめて多くの補足説明書を提出しましたが、本来、それらは、準備書の内容として含まれるべきものであり、神戸製鋼は、市民に説明すべきです。さらに、昨年10月に発覚した神戸製鋼グループの製品データ改ざん問題を受け、「神戸製鋼の信頼は地に落ち…」(川崎元社長の記者会見における発言)、兵庫県や神戸市による膨大なアセスデータの検証作業が行われたことも記憶に新しいところです。行政職員の労力、税金を使っての再検証作業が必要となったことは、納税者である神戸市民にとって大変遺憾なことですが、データ改ざん後、改ざん問題に関する市民向けの説明も一切ありません。
貴職におかれては、準備書に対する貴職意見の趣旨を実現するため、神戸製鋼に対し、環境保全協定締結前、かつ、電気事業法に基づく工事計画の届出前に、市民向けの説明会を実施するよう指導すべきです。
以上の見地から、当会は、上記石炭火力発電所による環境影響を懸念する多くの市民を代表し、貴職に対し、次の措置をとるよう、緊急に要請いたします。
神戸市長への緊急要請事項
神戸の石炭火力発電を考える会
【緊急要請事項1 環境保全協定について】
①神戸製鋼らと環境保全協定を締結する前に、締結しようとしている協定の内容について、神戸市民ら及び神戸市会に説明し、市民からの意見を一定期間募ること。
②環境保全協定を最終的に締結しようとする場合には、市会の意見、市民からの意見(とりわけ既設発電所、新設発電所からの大気汚染物質等の影響を被る地域に居住する市民からの意見)を尊重すること(前記・要請事項1関係)。
③当会は、多くの市民と共に、環境保全の見地から、新設火力発電所の建設に反対するものであり、新設火力発電所の設置を前提とした環境保全協定を神戸市が締結することにも強く反対するものである。しかし、仮に、神戸市が、新設火力発電所の建設・稼動を前提とした環境保全協定を締結する場合には、環境保全協定を締結するより前に、神戸製鋼が、新設火力発電所設置工事計画の届出をすることが絶対にないよう、強く指導すること。
【緊急要請事項2 住民説明会について】
①神戸市長意見、兵庫県知事意見、環境大臣意見、経済産業大臣勧告の趣旨を踏まえ、神戸製鋼に対し、新設石炭火力発電所の環境影響について、市民向け説明会を開催するよう指導すること。その際には、昨年7月に縦覧に供された準備書の内容のみならず、その後、神戸市環境影響評価審査会等に提出された補足説明資料の内容、環境大臣意見において温暖化対策の観点から、「事業を再検討する必要がある」と指摘されたことに対する事業者の見解もあわせて、説明するよう指導すること(前記・要請事項3関係)。
②昨年7〜8月に行われた事業者説明会においては、事業者が、環境保全の見地からの市民の質問に答えないなど、情報提供のあり方として不十分な点があった。このような事態が繰り返されることを避けるため、神戸市が説明会を主催し、環境局職員が司会を担当するなど、「地域住民等の関係者の理解・納得が得られるよう、誠意を持って丁寧かつ十分な説明を行う」(経済産業大臣勧告の表現)機会となるよう措置すること。
以上
※一部グラフの表現に誤りがありました。お詫びし、訂正致します(2018/08/30)。
【問い合わせ先】
神戸の石炭火力発電を考える会
住所:神戸市灘区山田町3-1-1(公財)神戸学生・青年センター内
TEL:080-2349-0490
Mail:kobesekitan@gmail.com
HP: https://kobesekitan.jimdo.com/