神戸製鋼石炭火力発電所増設に係る工事計画の届出に対する声明
2018年8月31日
神戸製鋼石炭火力発電所公害調停弁護団
株式会社神戸製鋼所(以下「神戸製鋼」といいます。)から平成30年5月に会社分割により事業を承継した株式会社コベルコパワー神戸第二(以下「コベルコパワー神戸第二」といいます。)は、経済産業大臣(所管局としては中部近畿産業保安監督部近畿支部)に対し、電気事業法第48条1項に基づき、神戸製鉄所敷地内に新設する火力発電所(以下「新設発電所」といいます。)について、工事計画の届出(以下「本件届出」といいます。)をしたことが本日判明しました。
昨年来、合計481名の市民が提起している神戸製綱らに対する公害調停(以下「本件公害調停」といいます。)において、申請人らにおいては、神戸製鋼に対し、石炭火力発電所である新設発電所の稼働は、大気汚染物質が大量に排出されることにより申請人らに健康被害を及ぼすおそれが高いこと、CO2 の大量排出により地球温暖化を促進し地球環境の悪化を生じさせるものであることなど、新設発電所により申請人ら及び地球環境に生じる被害を指摘し、新設発電所の稼働を前提とする同発電所の設置(建設)を行わないことを一貫して求めてきました。ところが、神戸製鋼及びコベルコパワー神戸第二においては、申請人らの声を無視し、新設発電所の設置に何ら問題はないとして工事着工に向けた手続きを進め、本件届出を行うに至ったものです。
コベルコパワー神戸第二による本件届出は、神戸製鋼らに対して新設発電所の設置の差止めを求める本件公害調停における協議が行われている最中に、調停での協議を無視し、また申請人らが求める事項に係る本件公害調停での合意を実現不可能にするものであり、申請人らは、本件届出に対して、強く抗議します。一方、神戸製鋼及びコベルコパワー神戸第二のこのような対応からは、両社においては、もはや新設発電所の設置計画について本件公害調停を通じて真摯に再考する意志がないものと言わざるを得ず、申請人らは、本件公害調停において、新設発電所の設置の差止めについて協議を継続する意味が失われたものと判断しました。
そのため、申請人らは、本件公害調停において調停を求める事項のうち、神戸製鋼に対して新設発電所の設置の差し止めを求める部分について、本日、これを取下げる取下書を兵庫県公害審査会に対して送付しました(なお、本件公害調停においては、既設発電所における環境対策や情報開示、環境アセスのやり直し等も求めていますので、これらの事項については、本件公害調停を通じて継続的に要求を続けてまいります)。
申請人らとしては、本件届出及び現在の状況を受け、新設発電所の設置の差し止めに向けて、あらゆる手段を検討し、あくまで設置を差し止めるべく行動していく予定です。
以上