【声明】東京湾の石炭火力発電所建設計画が相次いで中止
神戸製鋼も、温暖化対策・地域環境対策に逆行する石炭火力の建設を中止せよ
神戸の石炭火力発電を考える会
神戸製鋼石炭火力訴訟原告団
神戸製鋼石炭火力訴訟弁護団
2019年1月31日、出光興産・九州電力・東京ガスの3社は、千葉県袖ヶ浦市における袖ヶ浦石炭火力発電所(出力200万kW)について、「十分な事業性が見込めないとの判断」から、建設を断念することが発表されました。東京湾地域では、昨年12月27日には千葉市の蘇我火力発電所(107万kW)[1]、一昨年の3月23日には千葉県市原市の市原火力発電所(100万kW)[2]が建設計画の中止を発表しました。これにより千葉県は、2012年以降に石炭火力発電所の建設が計画された都道府県のなかで、全ての計画がなくなった県となりました。
私たちは、温暖化対策、地域環境対策に逆行するこれらの石炭火力発電所の建設計画が中止されたことを歓迎するとともに、神戸製鋼に、神戸市南部の人口密集地で建設を進めている石炭火力発電所(130万kW)の建設を直ちに中止することを求めます。
神戸製鋼が建設を止めるべき(数多くある理由のうち)3つの理由
1.地球温暖化対策に逆行する
新設発電所は、神戸製鋼の既設発電所と合わせて年間あたり合計1400万トン(日本の総排出量の1.3%)のCO2を排出する。これは、同規模の天然ガス火力の2倍にあたる。パリ協定のもとで、世界はまず「脱石炭」に向かっている。先進国で新規大規模石炭火力発電所の建設は許されない状況にある。将来世代に負の遺産を残さないためにも、神戸製鋼は、石炭火力発電所の建設を直ちに中止し、地域のリーディングカンパニーとして、世界と地域の未来に対する責任を果たすことを求めたい。
2.再エネ時代において、石炭火力に事業性はない
袖ヶ浦の計画中止の理由は、事業性が見込めないということである。再エネの割合が増加し、火力がその補完電源となって稼働率が低下すると、固定費の割合が高い石炭火力の競争力は大幅に低下する。現に、既設の石炭火力発電所においても、再エネの普及に伴い、昼間時間帯における火力の起動停止は増えているとも言われており[3]、火力発電の運用が大きく変化しつつある。神戸製鋼が石炭火力を建設しても必然的に稼働率は低く抑えられることになる。
3.大気環境の改善途中にある地域に、巨大な汚染源
石炭火力発電は、SOx、NOx、ばいじん、PM2.5、水銀等の大気汚染物質を排出する。この地域は人口密集地域であり、深刻な大気汚染公害からの環境改善の途上にあり、PM2.5、光化学オキシダントの環境基準が一部で達成されていない。大規模な汚染源となる石炭火力発電所を、150万都市神戸の人口密集地域、保育園や小中学校が多数ある地域に建設することは、そもそも、容認されえないことである。
現在、日本において、国は、電気事業法や環境影響評価法に基づく環境影響評価手続(環境アセス)や規制基準を通じた実効的な規制を何ら行ってきていない。また、国は、神戸の計画をはじめ、大規模石炭火力発電所の環境アセスにおいても、事業者により適切な環境配慮がなされていないにもかかわらず、これを見過ごして環境アセス手続を終了させ、建設を容認し続けている状況にある。しかし、世界はこの間、大きく変化をしてきた。1月26日には、国内にある石炭・褐炭資源に依存し、EU圏内においても転換が困難と目されていたドイツにおいても、さらなる地球温暖化対策の必要性から、2038年までに石炭火力を廃止するとの方針を示した。脱石炭の流れは、さらに加速している。
私たちは、神戸の石炭火力発電計画に関する2つの訴訟(民事・行政)を提起した。これらの訴訟を通じて、石炭火力発電所を建設しようとする事業者だけでなく、日本も合意したパリ協定のもとで、次々と石炭火力発電所の建設を容認する国の政策の違法性を問い、将来世代の健康を守り、暮らしや住みよい環境を守るために活動を続けていく所存である。
以上
(出典)
[1] http://www.chiba-power.co.jp/pressrelease/2018/pr20181227.html
[2] http://www.kenes.jp/topics/topics032.html
[3] 電気新聞2019年1月25日「DSS(毎日起動停止)急増の火力運用」
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