【声明】 神戸製鋼所 新規石炭火力発電所 営業運転開始へ抗議 -気候危機、大気汚染を加速させる神戸発電所3号機の稼働中止を求める-

2022/2/1

神戸の石炭火力発電を考える会

【声明】

神戸製鋼所 新規石炭火力発電所 営業運転開始へ抗議

-気候危機、大気汚染を加速させる神戸発電所3号機の稼働中止を求める-

 

21日、神戸製鋼所は、神戸線条工場内(神戸市灘区)において建設中であった新設石炭火力発電(神戸発電所3号機)の営業運転を開始しました。

これまで、当会をはじめ、深刻化する気候危機や大気汚染による健康影響を懸念する市民は、神戸製鋼所に対して幾度も、新設石炭火力建設の見直しを求めてきました。気候危機が顕在化するとともに、コロナ禍で健康影響にかってない不安を覚える中で、更なるリスクをもたらす石炭火力発電所が新規稼働することを、どのくらいの市民が知っているでしょうか。一刻も早い脱石炭が、一層強く求められている昨今の状況において、市民への説明・周知なく新たな石炭火力発電所の営業運転を開始したことに強く抗議し、運転の中止を求めます。

 

今回の3号機の営業運転開始によって、年間346万t-CO2の排出増加が見込まれます。

石炭火力発電は世界における温室効果ガスの主要排出源であり、気候危機が深刻化するなか、石炭火力を削減、廃止する必要があることが世界の共通理解となっています。昨年、イギリス・グラスゴーで開催されたCOP26では、気温上昇を2℃より低い1.5℃に抑える努力をすること、そのために、「排出削減対策が講じられていない(unabated※)」石炭火力をフェーズダウン(漸減)することが決議されました(「グラスゴー気候合意」)。今回の3号機の営業運転は、「排出削減対策が講じられていない」通常の石炭火力発電所を、2030年以降も長期に稼働させるもので、脱炭素社会の実現に大きく逆行するのは明らかです。国際的信用を喪失する事例となります。

※排出削減対策とは、国際的にはCCS(炭素回収・貯留設備)が想定されています。

 

発電所周辺は、京阪神地域の工業化の進展に伴う大気汚染公害により、多くの市民が健康被害を受け、今なお、特段の大気汚染対策の実施により大気環境の改善が図られている地域です。そこに新たな石炭火力発電所の稼働を強行することは、これまでの環境回復の努力を蔑ろにする暴挙といわざるをえません。当会は、20215月に3号機の試運転が開始されて以降の環境影響をウォッチし把握しています。住民の清浄な大気のもとで暮らす権利を脅かす石炭火力事業を認めることは、到底できません。

 

石炭火力発電所の建設が止まらないのは、大気汚染、気候変動の観点を考慮せず、発電事業の開始を認めた経済産業大臣の誤った判断が一因です。誤った判断に基づく石炭火力発電所の建設・稼働を見直さず、野放しにすることはできません。当会は、現世代及び次世代が安定した気候のもとで暮らす権利を守り、未来をつないでいくために、当石炭火力発電所の建設・稼働差止を求める民事訴訟、建設を認めた国に対する行政訴訟の2つの裁判を提起し、法廷で闘う原告を支援してきました。これら裁判の係争中に運転を強行する企業姿勢に対して、多くの市民とともに強く抗議します。

このたびの3号機の稼働は、現世代及び次世代が良好な大気環境・安定した気候のもとで平穏に暮らす権利を脅かすもので、企業の社会的責任を放棄した暴挙ともいえるものです。3号機の運転停止と、それに続く4号機の建設工事を即時中止するとともに、神戸製鋼所が2030年までの早期に石炭火力事業から撤退することを強く求めます。

以上。

【連絡先】

神戸の石炭火力発電を考える会

メール kobesekitan@gmail.com

声明文(PDF)

ダウンロード
20220201KOBELCO-P2-Start_Fin.pdf
PDFファイル 130.2 KB