【コメント】
関西電力株式会社 第98回定時株主総会における3自治体の株主提案について
2022/5/23
神戸の石炭火力発電を考える会
4月28日、関西電力株式会社の株主である大阪市、京都市、神戸市は、共同で脱原発、脱炭素、情報開示等を求める株主提案を発表した。関西エリアで、最も顧客シェアを有するエネルギー供給事業者は関西電力である。株主提案は、自治体が、関西電力の経営方針に対して直接、意見することができる貴重な機会である。エネルギー供給事業者の経営方針は、多くの市民、企業活動に影響が及ぶことから、自治体株主による低炭素から脱炭素への移行に向けた積極的な提案は、市民の生活環境を守るうえでも重要な意味を持つ。
当会が取り組む神戸における石炭火力問題においても、関西電力は重要な役割を果たしている。神戸発電所1-2号機(70万kW×2基)に加え、新設3-4号機(65万kW×2基)の石炭火力発電所から発電される電気の、ほぼ全てを関西電力が引き受ける(買い取り)契約を締結しており、顧客に販売している。つまり、神戸にある4基の石炭火力発電所の将来は、関西電力がどのように脱炭素の取り組みを進めるかにかかっているのである。
3自治体のなかで唯一、石炭火力発電所が立地しているのが神戸市であるが、神戸市は、石炭火力発電所の新設禁止を求める京都市の提案(第6項)に名を連ねていない。目の前にある、大気汚染物質、温室効果ガスを大量に排出する石炭火力発電所の環境影響に対して、無責任であるといわざるをえない。神戸市は、関西電力の株主として、同社に対し、経営方針の転換を求め、神戸発電所との受給契約の早期解消を求めるべきである。
なお、1.5℃目標を実現するには、京都市提案のように石炭火力の新設禁止を求めるだけでは不十分である。国の2030年の温室効果ガス削減目標である46%削減(2013年比 最大50%削減をめざす)の達成が危ぶまれる状況にある。さらに国際的には先進国において2030年の脱石炭が要請されていることを踏まえるならば、既設の火力発電所の閉鎖が必要である。1.5℃目標の実現へ、削減の道筋をより明確にするには、関西電力に対して、受給契約先の発電所を含む石炭火力発電所の廃止に向けた行程表の作成を求めることも必要である。
関西電力に対しては、3自治体の自治体株主の提案を真摯に受け止め、再生可能エネルギーの最大限の導入を通じ、脱炭素社会の早期実現に貢献する方針を打ち出すことを求めたい。
(参考)3自治体による提案内容
比較一覧表:https://tinyurl.com/yyxqzwe3 (作成:神戸の石炭火力発電を考える会)
神戸市:https://www.city.kobe.lg.jp/a36643/press/20220426.html
京都市:https://www.city.kyoto.lg.jp/kankyo/page/0000297511.html
大阪市:https://www.city.osaka.lg.jp/kankyo/page/0000264358.html#r040427