【声明】神戸製鋼所 神戸発電所4号機運転開始へ抗議
-住民の健康・気候悪化リスクを高める石炭火力発電所の稼働を容認できない-
2023/2/1
神戸の石炭火力発電を考える会
2月1日、神戸製鋼所は、神戸線条工場内(神戸市灘区)において建設中であった4機目の新設石炭火力発電(神戸発電所4号機65万kW)の営業運転を開始しました。これにより、2014年より計画された、2基の石炭火力発電所増設計画が完了したこととなります。すでに稼働中であった1-3号機と合わせると、270万kWにもなる、日本有数の石炭火力発電所集積地域が人口150万都市の神戸に出現しました。
石炭火力発電所は、世界における温室効果ガスの主要排出源として、先進国においては、2030年までの全廃の必要性が認識されています。さらに、異常気象が地球規模で確認され、その深刻さが増すなかで、新たな石炭火力発電所を稼働させた神戸製鋼所に対し、厳重に抗議し、稼働停止を求めます。また、売電先の関西電力に対しては、電力需給契約の解消を求め、神戸発電所を稼働させないように求めます。
これまで、当会をはじめ、石炭火力による悪影響を懸念する市民は、神戸製鋼所に対して幾度も、新設石炭火力建設の見直しを求めてきました。気候危機だけでなく、コロナ禍が続き、健康に不安を覚える日々が続く中で、さらに健康影響リスクをもたらす、石炭火力発電所の新規稼働を許容することはできません。
神戸発電所周辺は、京阪神地域の工業化の進展、道路交通の増加に伴う大気汚染公害により、多くの市民が健康被害を受け、今なお、特段の大気汚染対策の実施により大気環境の改善が図られている地域です。当会は、2021年5月に3号機の試運転が開始されて以降の環境影響を監視・把握し、環境モニタリング体制の不全などを指摘してきました。稼働に伴う大気環境への影響は、決して軽微なものではありません。住民の清浄な大気のもとで健康に暮らす権利を脅かす石炭火力事業を認めることは、到底できません。
当会は、現世代及び次世代が安定した気候のもとで暮らす権利を守り、未来をつないでいくために、当石炭火力発電所の建設・稼働差止を求める民事訴訟、建設を認めた国に対する行政訴訟の2つの裁判を提起し、法廷で闘う原告を支援しています。今や気候変動問題は、深刻な人権侵害を引き起こす新たな公害問題として、私たち市民、一人ひとりに切迫した危険となっています。発電所の建設・稼働差し止めを求める民事訴訟の判決が3月20日に予定されています。裁判所には、次世代が良好な大気環境・安定した気候のもとで平穏に暮らす権利を守るべく、石炭火力発電所の稼働差し止めを認める公正な判決を下すことを求めます。
国に対しては、気温上昇1.5℃未満の実現のため、2030年までの早期に脱石炭を実現し、アンモニア混焼等の石炭火力延命策の見直しを求めます。また、火力発電所が立地する自治体においては、市民に対して発電所による環境影響を周知すると共に、省エネルギーの取り組み、地域主体の再生可能エネルギーの普及促進を通じて、火力発電所の削減につながる施策の検討、実現を要請します。
神戸発電所4号機が稼働しても、当会が掲げてきた石炭火力問題に対する姿勢は不変です。引き続き、裁判所だけでなく、社会へも訴え続けていきます。また、できる限りの省エネ・再エネ普及に取り組むだけでなく、気候危機を引き起こす、社会・経済システムの転換を求め共に行動し、声をあげていく市民と連帯していきます。